輸入レモンについて

日本におけるレモンの歴史

シトラス輸入の歴史は輸入自由化の歴史でもあります。レモンは1964年、グレープフルーツは1971年、オレンジは1991年とレモンはシトラスの中では最も早く輸入が自由化されました。アメリカでは、レモンは古くからレモネードや料理の調味料として日常的に使用されていましたが、日本の1945年から1964年までは、外貨割当制によってシトラスの輸入は禁止されていたため、輸入レモンは全く存在しませんでした。輸入が許された1964年に1万トン程だったレモンの輸入量は1974年には10万トンに増えるなど、あっという間に日本人の生活の一部になります。

ところが、1980年代末に12万tから9万tへと急減し、その後も輸入相手国にチリなど南半球諸国が加わりながら、現在では5万t程となっています。減ってしまった理由ですが、輸入されたレモンの大半は外食などの業務用に使用されており、景気後退とレモンの価格上昇によってより安価な果汁への転換が進んだためです。

アメリカの一強が崩れた理由は、1996年にチリ産の輸入が解禁されたためです。正確には、チリにおいて大害虫であるチチュウカイミバエの根絶が確認されたため、虫を駆除するための処理が不要になり、コストや品質面で有利になったことで輸入が急増しました。アメリカと季節が逆のため、アメリカで出荷の減る夏場に出荷のピークを迎える点も利点の一つです。

 

貿易統計より                            カリフォルニアレモン事情(東洋法学61巻2号)より

 

レモン産地の歴史

レモンは寒さに弱く、潮風に強いという特徴から沿岸部に多くの産地があります。こうした地域は風光明媚なため、高級住宅街への再開発などで伐採されることがあり、レモンの産地は大きく変遷してきました。近年はアメリカやイタリア、スペインといった伝統的産地が横ばいなのに対して、アジア、アフリカ地域で生産量が急増しています。

レモンの収穫

現在でも果実の収穫は機械化が難しく、大半は手作業で収穫されています。レモンの収穫方法も100年前からあまり変わっておらず、果実の中でも特に重労働です。レモンの木にはやっかいなトゲがあるため、作業員は分厚い手袋を着け、服を何枚も重ね着して作業しなければなりません。砂漠地帯の産地では収穫期の気温が50℃になることもあり、そんな中、木の高い部分にあるレモンを収穫するためはしごに登って袋に詰める大変な作業です。手に届く範囲で収穫できるよう木を低く切りそろえている園地も多いです。

品種の違い

図説 果物の大図鑑より

代表的な品種はリスボン、ユーレカ、ジェノバです。とても強い酸味と香りが特徴です。レモンは世界中で長く栽培されているため、酸味が弱く甘い物、果皮や果肉の色が黄色でない物など様々な品種がありますが、輸入、国産共にほぼ全てのシェアを占めているこの3種は、生育に適した気候などの違いはあるものの果実の外観、味では区別がつかないため単にレモンとして扱われます。わずかに流通しているメイヤーレモンと呼ばれる品種は、オレンジとの自然交配で生まれた品種のため果皮がオレンジ色で甘味が強いなど明確な違いがあります。

レモンの効能

レモンに含まれるビタミンCは抗酸化作用があり、健康の維持に不可欠なビタミンです。レモン1個に20mgのビタミンCを含むと定められたことから、ビタミンC含有量の指標としてレモン〇個分という表記がよくされます。これは果汁のみを計算したもので、皮を含めたレモンには約100mgのビタミンCが含まれています。なので、レモン1個にはレモン5個分のビタミンCが含まれているという冗談のような表現も成立します。

また、ビタミンCは果物の酸っぱさとは無関係で、レモンの酸っぱさはクエン酸によるものです。クエン酸は疲労回復に効果があります。栄養以外にも、レモンの香りには心をリフレッシュさせ、明るい気持ちにしてくれる効果があるため、19世紀のヨーロッパではうつ病の患者に薬として処方していたそうです。現代でもアロマや洗剤などの香料として幅広く利用されています。

 

塩レモンブーム


2014年にはレモンを塩漬けにした塩レモンが流行しました。塩レモンは元々はモロッコの伝統的な食材で、塩やしょうゆのような調味料感覚で使われています。そのため家庭に常備しているほか、お店でも果物売り場ではなく調味料や漬物の売り場に売られています。

ソテー、サラダ、マリネなど様々な料理に合う万能調味料です。材料は塩とレモンだけ、作り方は漬けこむだけと簡単ですが、発酵させる必要があり、美味しくなるまで1カ月程かかります。本場モロッコでは何年も漬け込んだものが使われているそうです。

レモンサワーブーム


https://r.gnavi.co.jp/4zz1ztvj0000/menu5/より

最近若者や女性の間でレモンサワー人気が高まっています。大衆居酒屋が人気になり、その定番メニューであることからブームになりました。焼酎を炭酸で割ってレモンを絞るだけで作れるため、安価で提供されるほか、どんな料理にも合うすっきりした味わいが好まれています。また、前述の美容・健康に良い点も関心の高い女性の注目を集めています。インスタ映えを意識して提供するお店もあるようです。

船昌商事のこだわり

最大の輸入国であるアメリカのレモンは通年で輸入されていますが、6月~9月にかけてはそれ以前に収穫され、貯蔵されている物からの出荷になることがあります。こうした品は鮮度が悪いため、船昌商事ではこの時期のみ他産地のレモンを輸入し、1年を通じて新鮮なレモンを提供しています。

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